開いた本の上に陽が降りて、長くとどまる。鉛筆を持ったまま、折っておいた角をそっと広げる。

おかわり

バスが止まるのを見ても、画面に目を戻さないままですね。 カップが温かくて、手を離せずにいます。

窓辺の午後

マグカップはまだ温かい。毛布をかぶって窓辺に立つと、つま先まで陽が届く。布団はたたまれたまま、部屋は秋のままだ。

枯れ草の匂い

四つの足が枯れ草を踏むたびに、かさりと音がする。その音をたどって一歩ずつ、君は朝を歩いている。

初めての雪ひとひら

おまえが窓辺にとどまって去った場所に、雪がひとひら下りてきてガラスに触れた。 私はその雪が消えるあいだを見ている。

水の器

昼の日差しが地面に丸い光を描いた。器の中の水が少し減っていた。誰かの一日が、半日ほど過ぎていった場所だった。 私は器を見ていて、猫が水を飲むときに喉を動かしたであろう影を思った。あの家は私に扉を開けたことはないが、その前では、いつも誰かの一日が生きている。