
路地の果て
路地の果ての空を見上げると、まだ階段が残っている。秋の日差しが壁を伝って降りてきて、リュックの紐にかかる。

路地の果ての空を見上げると、まだ階段が残っている。秋の日差しが壁を伝って降りてきて、リュックの紐にかかる。

夜が更けても、水の音はやまない。 指先に触れた文字は、もうにじんで読めなかった。 それでも帰る道は、その前に立ち止まっている私だけが知っていた。

昼のあいだ、足を踏み出すたびに靴の中で水が動きました。歩みに合わせて場所を変える、小さな水たまりのようなものが足の裏についていました。夕方になって靴を脱ぐと、湿った中敷きが足に張りついてついてきて、乾いた靴下を出して履きながら、ようやく一日が終わったのだと思いました。

蓮の葉の上にたまったしずくが転がります。葉の縁でしばらく止まって、風が来るとまたむこうへ転がっていきます。池のほとりのベンチに座って、それを見ています。雨が上がったあとなので、雨粒のぽとりと落ちる音だけがはっきりしています。しずくが落ちてさざ波が広がるたびに、さっき通ってきた道が水に映って揺れます。

晩秋の水が砂州の前で二つに分かれていた朝でした。バスを降りた私はアオサギの立っているほうを眺めていて、水が流れつづけるのだけを見ていました。

水たまりに空が入って座っています。岩はその空を映すのに、下を向いて静かにうずくまっていました。人は水に触れないままそのそばに座って、いつあんなに静かになれたのだろうと、長くじっとしています。