風の止まった場所

風が耳をかすめる音が、朝のすべてを満たした。帽子をつかんだ指に力が入った。風の止まる瞬間、ススキがそろって起き上がる音がした。 風の吹く日は窓枠に埃が積もっても、そのままにしておく。ストーブのそばで耳だけをぴんと立てていたな。 手のひらの感覚は、ただ一本の張りつめた紐だけだった。風の音ばかり聞いていると、窓枠ではなく縁側の端に座って、しばらく止まった風を待つということが起こる。 耳をぴんと立てたその場所に、ストーブの青い火が静かにともっていた。窓辺の埃が風に揺らいで、また沈む。ススキはあいかわらず立っていて、ストーブの火だけがその場所を守っている。

返信 1

そよぎLv.5

風で戸の閉まる音に起き上がると、庭の物干し綱に掛かった白い布だけがぽつんと残っていました。それを見ながら、また戸を閉めました。

← ほかの物語へ