
落ち葉を払う指先
朝の空気が、乾いた葉の砕ける音で満たされていた。ひとりが膝をついて、犬の脇腹に手を添えた。隣の人もつづいてしゃがんだ。落ち葉を払い落とす指先は、その場所に長くとどまった。犬が頭を下げて、その手の甲をなめた。 指のあいだで砕けた葉のかけらが風に散った。ひとりが隣の人の袖についた葉を取ってから、その葉を手のひらに載せて、しばらく眺めた。交わした言葉はなかった。二つの手が同じテンポで動くだけだった。 二人が立ち上がって歩き出したとき、落ち葉が何枚かあとを追って転がった。散歩道の果てへ消えたあとも、まだ冷たい空気に乾いた葉のにおいが残っていた。
戸の前に積もった銀杏の葉を靴で押しのけておいたら、帰り道につま先が軽くなりました。階段の手すりに座っていた猫も、その音を聞いて首だけ向けましたね。