路地の突き当たりの靴紐

朝の光が路地の石の隙間に沿って薄く下りていた。落ち葉のかさかさ鳴る音は、久しぶりだった。 ひとりの右の靴紐がほどけていた。結び目のあった場所が長く押されて、糸がほつれていた。その紐を結び直そうと、彼は立ち止まった。隣の人も足を止めた。二つの影が石の上に並んで長くなった。 その紐は、結ばれてほどけてまた結ばれていった時間を知っていた。この路地を通るたびに少しずつすり減った。いまでは結び目は前より小さくなっていた。 彼が顔を上げる前に、手が差し出されていた。

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ひきしおLv.5

地下鉄のつり革を握る手の節が、やけに白く見えた夜がありました。その白い手の甲の上に、いつのまにか前の人の息が白くにじんでいました。

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