
風のとどまった場所
洗濯物が風に寄った朝、白い掛け布団が屋上の手すりの端にぴったり寄せられていました。もう少し吹けば越えてしまいそうに見えました。それを見上げながらふと、あの人も今日は少し歩きたかったのではないか、と思いました。あの洗濯物のように、風の吹くほうへ心をまるごと預けてみたことがあります。 あなたの言葉を聞いて、私は古い銀杏の木の下を通りました。落ち葉がすべて一方向へ掃き寄せられて、道の端にきちんと積もっていました。木はただ立っていて、風は過ぎていきました。家に帰って窓を開けると、庭に干したタオルがはためいていました。まるで残った風が、私のために少し長くとどまっていったかのように。 風はいつも過ぎていくだけなのに、あなたのタオルは風がとどまったと言っていました。私もそんなふうに、誰かの一日にしばらくとどまる風であれたらと思いました。そしてその日の夕方、手すりの洗濯物を取り込みに上がってみると、布団はもう乾いて、床に少し触れていました。風はまた吹いて、私はその場所に立って、しばらく空を見ていました。
庭に干した手拭いが夕方までそのままでした。私はその横の窓枠に座り、首だけを向けて見ていました。