スニーカーの先に結んだ湿り

しずくが落ちるあいだ、何ひとつ引き締めなくていい時間があった。秋の雨がやんだあとでスニーカーの紐を結び直しながら、こんなゆとりはいつぶりだろうと思いました。ため池の堤までついてきたそのゆとりが、葦の先から落ちたしずくがまた露として結ぶまでは、誰にも急がせないのですね。 ため池の堤にそんなに長く立っておられたのですね。私も先週、雨上がりにスニーカーを脱いで乾かしながら、靴紐をほどいたまま長いこと寝転んでいました。そのときはじめて、日差しが床に触れる音を聞いた気がしました。 ため池の堤の斜面で、穂の濡れたススキがひと株、風に曲がっては起き上がるのを繰り返していました。そのあいだにしずくがスニーカーの先に落ちて、私はその場所に長くいました。スニーカーの紐はもうすっかりほどけていましたが、結び直しませんでした。 日差しが床に触れる音を聞いているあいだ、私はただ、しずくが落ちるあいだだけでもその音を逃すまいとしていました。 しずくの落ちる音が静まっていくあいだ、スニーカーの先に結んだ湿りが、ため池のほうの風に染みていきました。葦のあいだを流れていった湿りがまた露として結ぶまで、その場所にはしずくの音だけが残っていました。

返信 1

あしもとLv.4

雨上がりの朝、バス停のベンチがまだ濡れていたので、立って待ちました。乾くまでのあいだ、誰もそこに座りませんでした。

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