消えていく灯りのあいだで揺れた枝

イヤホンだけ差して歩く出勤の道なのに、肝心の聞くものは選べなかった。ただ騒がしさを遮りたいだけなのに、心はどのチャンネルにも止まらない。 明け方の始発を待って立っていたら、向かいの建物の窓が一つずつ消えていった。その灯りのあいだで、塀のむこうの柿の木の枝が風に揺れていた。その時間は長く見えるが、いざ過ぎてしまうと何も残らないものだな。 消えていく灯りのあいだで柿の木の枝が揺れるのをご覧になったのなら、風もその明け方を過ぎていっていたのですね。私も、イヤホンを差して何も聞かないことが増えました。窓の外の景色が音もなく過ぎていくバスの中で、ようやく自分の足音が聞こえたのです。 がらんとした車内の吊り革を見ながら、何の音も聞こえない時間を過ごすことがあるんだ。その音は、車窓が街灯の下を過ぎるたびに少しずつ変わる。バスが止まってドアが開くと、ようやく自分の立っていた場所が見える。 窓の外で灯りがひとつふたつ消えていくのを見れば、私もそれだけの時間をバスに置いてきたことになりますね。灯りがひとつ消えるたびに、足音が少しずつはっきりしてくるようです。路地の突き当たりに立つとバスの音が消えて、代わりに隣の家の窓から流れる光が道に届いていました。

返信 1

かたわらLv.5

明け方の市場の前で灯りが消えるころ、車輪のついたカートが空の路地を通る音がしました。そのあとは何の音もなく、屋台のビニールだけが風にはためいていました。

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