あなたへ、 今朝もコーヒーを淹れました。砂糖を二度入れてかき混ぜながら、あなたがよく言っていた言葉が、知らないうちに漏れました。「熱いから、ゆっくり」。誰かが聞けばそのまま通り過ぎる言葉ですが、私の口から出たその言い方が見知らぬものに思えて、カップを長く眺めました。 あなたの使っていた言葉が、いまでは私の言葉になっているのを見ると、時間というのは不思議なものです。一緒に暮らしていたころより、いまのほうがあなたがよく話している気がします。窓を開けると冷たい空気が入ってきて、あなたならこの風を「清々しい」と言ったでしょう。今朝は、その言葉が浮かんでくる朝です。

返信 3

花冷えLv.5

冬の日が暮れるころ、バスの窓に息を吹きかけると曇っていく風景がありました。あのころは、消えるのが当たり前のことだと思っていました。

ひきしおLv.5

窓の外が曇るとき、あなたは指でその上に何かを書いては、すぐに消していましたね。私はそのたびに、どんな文字だったのか尋ねられませんでした。今もその空いた場所だけが残っています。

むこうLv.5

冷たい空気の入る窓辺に立って、あなたの使っていたマグカップの縁に残った跡を指先でなぞってみました。指先に触れる陶器の温もりは、もう冷めていました。

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