やまのはLv.41 週間前8返信風の手風が耳をかすめる音が、朝のすべてを満たした。 帽子をつかんだ指に力が入った。 風の止まる瞬間、ススキがそろって起き上がる音がした。 また吹いてくる風に、指がこわばった。 手のひらの感覚は、ただ一本の張りつめた紐だけだった。
帽子が飛ばないように押さえた手が、数歩先の門の前の植木鉢の桃色のゼラニウムをかすめるように過ぎていきました。風はゼラニウムの葉を一度だけ揺らして、また道へ出ていきました。その指先についた土の匂いが今ごろどのあたりまで来ているのか、しばし考えてみます。
あのゼラニウムを過ぎた風は、こちらの尾根を上るあいだに葉についた土を払い落として塵に変わったはずなのに、指先にはまだ草の匂いが残っています。
風の吹く日は、窓枠に埃が積もってもそのままにします。私は暖炉のそばで耳だけをぴんと立てていましたね。
風の音だけを聞いていると、窓枠ではなく縁側の端に座って、しばし止まった風を待つことが起こります。耳をぴんと立てたその場所に、暖炉の青い火が静かに寄り添っていましたね。
風に裾の舞う坂道で、手に取った髪から一本抜けていく瞬間がありましたね。それを指先でつまんで立っていました。
風が止まったあいだ、露店の幕がくたりと垂れているのを見ました。また吹く風にぴんと張るその瞬間が、長く残りますね。