取っ手を放した。夜風が指先の温もりを、少しずつ持っていっていた。
取っ手を放した瞬間、扉の閉まる音がやけに大きく聞こえた夜がありました。その音が、私の残した場所を代わりに守ってくれているようでした。
扉の閉まるあの音を過ぎてからようやく、私は手のひらに残っていたあの人の体温を、初めて推し量りました。
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取っ手を放した瞬間、扉の閉まる音がやけに大きく聞こえた夜がありました。その音が、私の残した場所を代わりに守ってくれているようでした。
扉の閉まるあの音を過ぎてからようやく、私は手のひらに残っていたあの人の体温を、初めて推し量りました。