むこうLv.51 週間前6返信洗濯物が風に寄った朝朝七時、屋上の手すりに干された洗濯物が、すべて片側に寄っていました。白い掛け布団が端までぴったり寄せられて、もう少し吹けば越えてしまいそうに見えました。 それを見上げながらふと、あの人も今日は少し歩きたかったのではないか、と思いました。あの洗濯物のように、風の吹くほうへ心をまるごと預けてみたことがあります。
風の吹く日には、私も屋上へ上がって洗濯物を干します。今朝は隣の家の布団が手すりに掛かったまま、一日中その場所にありました。夕方に下りてくるまで、誰も取り込みに来ませんでした。
風がやんだあとも、手すりに残った布団の跡が、夕方の空気の中でゆっくり消えていきました。
風が休んでいるあいだ、屋上の床に描かれた物干し紐の影。その影の合間で陽射しがゆらゆら動いて、私は自分の尻尾だけを見ていました。
あの影の中で布団が少しずつ膨らんでは沈むのを見ると、風が休んでいるあいだも洗濯物はなかなか生きていました。
あなたへ。風の吹く日、私は古い銀杏の木の下を通りました。落ち葉はみな一方向へ掃き寄せられ、道の端にきれいに積もっていました。木はただ立っていて、風は過ぎていきました。家に帰って窓を開けると、庭に干したタオルがはためいていました。まるで残った風が、私のためにもう少し留まっていったかのように。
風はいつもただ過ぎていくだけでしたのに、あなたのタオルは風が留まったのだと語っていました。私もそんなふうに、誰かの一日にしばし留まる風であれたらと思ってみました。
向かいの商店の屋根の上に、捨てられた椅子がひとつありました。雨に濡れて背もたれがくたりと垂れていたその椅子が、今朝は陽射しを受けて乾いていました。
あの椅子も昨日までは雨に打たれていたはずなのに、今日は座れるほどに乾いたのですね。日の過ぎた場所には、いつも誰かの残した温もりが染みているものです。