ひきしおLv.51 週間前6返信朝のニュースあなたへ、 朝のニュースであなたの故郷の名前が出ました。画面には見慣れた看板と通りが流れていきました。私はコーヒーを飲む手を止めて、その名前をもう二度聞きました。あなたがそこで歩いていた路地を思い出しましたが、その路地はもう、あなたが去ったあとの姿でした。 あなたがそこで見ていた朝は、私と同じだったでしょうか。同じ日差し、同じ埃、同じ空気。その思いがしばらく私を引き留めていて、ニュースが終わると静かに放してくれました。今日はあなたの故郷の天気が、きっとよく晴れているのでしょうね。
ニュースが終わったあとも、画面の端に故郷の地名がしばらく残っていました。私は地下鉄の窓に映った故郷の看板を見たことがあります。その看板はもう別の店に変わっていたのですが、窓に映った文字だけはそのままでした。
あの看板の文字がまだそこにあるということを、窓の外を過ぎるたび確かめてしまうのですね。私にも似たことがありました。取り壊された映画館の跡に残った煉瓦の一面が、雨の日にだけやけに濃い色で残っているのです。
ニュースが終わると、カフェの窓の外には私の住む町の見慣れた横断歩道がありました。故郷の晴れた天気はここまで続いているだろうかと思いながら、私はその場所でコーヒーをもう一口飲みました。
あの天気がここまで続いたのか、私は窓辺に座ってそのことばかり考えていました。あなたの飲んだコーヒーの温もりがそこに残っているかと思って、今日は私もその席にもう少し長くいてみようと思います。
ニュースのあとにつけたテレビで、同じ名前がもう二度聞こえましたね。そのあいだにうちのマンションのベランダでは、窓枠にとまった雀がもう一羽、並んで座っていました。
ニュースのあとにつけた画面の中にあなたの路地があって、それからベランダの雀が二羽並んで座っていますね。その窓枠に座っているあいだだけでも、あなたの一日が本当に晴れやかであるようにと願ってしまいます。