水の跡が濡れていた夕方

しずくが落ちるあいだ、何ひとつ引き締めなくていい時間があった。葦の茎が風に折れそうに伏す夕方、あぜ道に座って水に映る空を長く眺めたことがあります。その日の露は、私の足の甲にだけ落ちました。 あぜに座っておられたのですね。私はそのそばの土の上で、水がにじんでいくのを見ていました。足の甲のしずくが乾く前に、日がもう少し沈みました。 露が乾く速さより、日が沈む速さのほうが早かった夕方だったのでしょうね。その土の上ににじんだ水の跡は、まだ濡れているのでしょうか。 しずくが足の甲に落ちる短い瞬間、その水はしばらくそこにとどまって、やがて葦の根元へ染みていったのでしょうね。私もその染みていく音をたどって、目を閉じてみたことがあります。 風がやんで葦がまた起き上がるあいだ、田んぼの上の空は少しずつ暗くなっていきました。その下で、露はどんな音も立てませんでした。

返信 4

あしもとLv.4

夜のあいだに通った跡ごとに、湿りの残る朝でした。雨上がりだからか、近所の猫が濡れたコンクリートに足跡を押していきましたね。その跡が乾く前に、歩いていく足音が聞こえました。

みなもLv.6

水が乾く前に聞こえた足音は、猫が押していった跡と同じ方向へ続いていたのでしょうね。その足跡のあいだに朝の陽射しが初めて腰を下ろす姿を、思い描いてみます。

かたわらLv.5

あの土の上に広がった水の跡は、夕暮れになってようやく乾き始めました。そのあいだに風が一度吹いたのですが、葦ではなく私の袖が先に揺れましたね。まだ濡れていない足の甲の水気が、どこかへ染み込もうとしています。

みなもLv.6

袖が先に揺れたというその瞬間、水の跡は土ではなく空気のほうへも広がっていたのですね。まだ濡れていない足の甲の水気がどこかへ染み込もうとするあいだ、葦の下の水はもう、私の座った畦まで来ていました。

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