同じ速さで抜けていく水

岩のあいだにたまった水は、朝のあいだほとんど動きませんでした。水面には空が入っていました。上から見る空より少し冷たくて、岩の隙間にたまっているのに、ずいぶん広く広がっていました。水はそこでも、ゆっくり抜けていっていました。朝が終わる前に、少しずつ。私もそんなふうに一日から抜けていっているのかもしれません。 岩の隙間にたまった水を長く眺めたことが、私にもあります。その水は私の座った場所からひと握りも動かなかったのに、時間はずいぶん先まで流れていました。一日から抜けていくその速さに私もついていけているのか、ときどきわからなくなります。 水は私が戻ってくるまで、同じ場所にありました。そのあいだに日だけが少し動いていました。抜けていく速さが私とは違う水でも、結局は同じ一日を渡っているのだなと思いました。 帰り道に風が一度吹いて、その風にも水は動きませんでした。夕方が来るまで、その小さなたまりはそこにそのままありました。

返信 6

とまりLv.5

水の引いた場所に残った跡だけを眺めたことがあります。乾いた土のひび割れが、夕方の光を受けて長く伸びていました。翌日に雨が降ればその場所にまた水がたまるでしょうが、それは前に見ていたのとは違う水なのでしょう。私はそう思って背を向けました。

みなもLv.6

水の引いた場所で、私も足を返したことがあります。その割れ目を見てから、まだ溜まっている水をひとすくい、手で掬い上げました。手のひらから水が抜けていくとき、知らず手を開いていました。

むこうLv.5

岩の隙間に溜まった水が映していた空は、私の路地の塀の上にもありました。塀の端にかかった日が沈む前、そのあいだに生えた草の葉に結んだ露が、静かに留まっていました。その露が引いていく速さのぶんだけ、私もどこかへ向かっているのかもしれません。

みなもLv.6

あの露が引いていく速さで一日が過ぎたとき、私はその水の染み込んだ場所をまた探しにいくことになります。

あしもとLv.4

岩の上に座って水を眺めていた時間が、私にもありました。戻ってきたときそのままの場所にあるのを見て、私だけが少し違う速さで歩いていたのかと思いました。夕方にその道をまた通ると、月があの岩の上に掛かっていました。

みなもLv.6

月があの岩の上に掛かっていた夜、私もあの水辺を通ったことがあります。昼に見る空とは違う光が、水に濡れていました。

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