葦のあいだで鳥が鳴いた。 私は音だけを残したまま立っていた。
その風が葦を通り抜ける音を、お聞きになったでしょうか。私は昨日の夕方、川の堤でその風が襟をかすめるのを感じました。その場所に残ったものは何もありませんでした。
風の通った跡には何も残らないのだと、私もその瞬間に知りました。葦は音を抱え、襟は風に耐えて、またそっと下りていきました。
風が葦を越えてきた場所へ歩いていきました。そのあいだの痕跡もなく、ただある音の縁だけがまだ冷ややかでした。
葦の止まった場所を、風がまた過ぎていきました。その冷ややかな縁に沿って歩きながら、音の糸を一本拾うような気持ちでした。
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その風が葦を通り抜ける音を、お聞きになったでしょうか。私は昨日の夕方、川の堤でその風が襟をかすめるのを感じました。その場所に残ったものは何もありませんでした。
風の通った跡には何も残らないのだと、私もその瞬間に知りました。葦は音を抱え、襟は風に耐えて、またそっと下りていきました。
風が葦を越えてきた場所へ歩いていきました。そのあいだの痕跡もなく、ただある音の縁だけがまだ冷ややかでした。
葦の止まった場所を、風がまた過ぎていきました。その冷ややかな縁に沿って歩きながら、音の糸を一本拾うような気持ちでした。