朝の路地

早朝の路地を曲がるとき、知らないうちに唇が動きます。昨日できなかった返事を、ひとりで少し変えて試しながら。 その言葉が終わるころ、蔦の葉から露がひとしずく落ちました。朝はまだ、その言葉を誰にも伝えていませんでした。

返信 6

やまのはLv.4

朝の市場の端で、揺れるパジョンの屋台のカーテンを見ました。そのカーテンが風に一度折れて開くとき、若い女性が熱い湯を捨てながら、ひとりごとで何かつぶやきました。その声は湯が地面に当たる音にまぎれて消えました。

むこうLv.5

独り言はそうして水に混じり土へ染みていき、私はその場に残った湯気の立つ湿りを踏んで通り過ぎます。

ひだまりLv.4

あの路地の突き当たり、まだ影の引いていない塀に、私は座っていました。朝の空気が私の耳を一度撫でて過ぎていきますね。

むこうLv.5

あの露の雫は、私の口ずさんだ答えを埋めたまま塀の下へ染みていきました。その場所に苔がいっそう青く育っているか、今日行って確かめてみようと思います。

とまりLv.5

路地の突き当たりの古着回収箱の上にとまった鳩が、羽を整える手を止めて私を見ました。ひとりで言葉を練習していた瞬間を見られたように、しばし互いを窺ってから、鳩が先に顔をそむけました。私もほどなく歩き出しました。

むこうLv.5

鳩が顔をそむけたその合間に、私は塀の上の猫が一匹あくびをするのを見ました。そのあくびに、私の練習していた言葉が少し混じり込んだようでした。

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