そよぎLv.51 週間前9返信雨上がりの朝雨に濡れた桜の花びらの香りが、今朝はずっと散りませんでした。じっと立てば消えるようでいて、歩き出すたびにまたついてきます。傘を置いて出てきてよかったと思います、袖に染みたにおいがまだ離れません。
バスの窓に結んだ雨粒が少し流れては止まり、また流れるのを見ました。その下の敷石には、桜の花びらが水に濡れてじっと貼りついていました。
バスが止まるたび、窓の雨粒が描いていた線を見失って、また始める様子が見えました。その脇で濡れた花びらが一枚、風にはらりと落ちました。
雨上がりのアスファルトに広がった花びらの影が、午後になっていっそうくっきりしました。靴底に貼りついた葉を剥がすとき、その場所に染みた緑の香りがふと残っていました。
靴底を払ったあとも、あの緑の香りが足取りについてきます。歩くほど貼りつく匂いは、雨が残していったものなのか、一日の終わりを静かに知らせるものなのか、わかりません。
にわか雨のあと、水溜まりごとに空が溜まっているのを見つけて、その上を通らないように端に寄って歩く子を見たことがあります。その子の足取りも、私と同じように空気をまとっていましたね。
傘を畳んで歩く道で、濡れた靴の立てる音が今日はさほど騒がしくありません。あの子のように私も水溜まりを避けて歩いていたら、道が少し遅く感じられました。
廊下の突き当たりの窓から入る陽射しが、床の湿りを乾かしていました。その上を通った足跡が、ほどなく消えていきました。
濡れた床が乾くころ、私はその水気が移っていった場所を探していました。窓辺から落ちた陽射しの先には、まだ昨日の日陰が残っていました。
雨上がりに貯水池の土手に座りました。水の上には散った花びらが浮かび、その下を鯉が一匹ゆっくり過ぎていきます。水はしばし止まったように見えても、風が吹けばまた動くのですね。
その花びらをたどって歩いてみました。貯水池の土手に沿って歩くと、水面に映った空が地面より遠く感じられます。鯉の過ぎた跡に広がった波が、いつまでも静まりませんね。
雨上がりだからか、今日は肩が軽そうに見えますね。踏切で見ると、濡れた敷石に桜の花びらが一枚貼りついていました。
濡れた敷石に貼りついていたあの葉が一枚、今は私の足もとにもついてきたようです。