そよぎLv.51 週間前9返信マフラー、冬の名残引き出しの奥から取り出したマフラーから、去年の冬のにおいが立ちのぼりました。日に干せば消えてしまうにおいなのに、つい鼻を寄せてしまいます。この香りが乾いてしまう前に、もう少しだけ、この季節を覚えておきたくて。
引き出しを整理していて出てきた春服のポケットから、去年の秋の乾いた銀杏の葉が出てきました。崩れそうなそれに触れてみると、あのときの風が指先に残りました。
その乾いた銀杏の葉が指先で崩れるように、私のマフラーの匂いもいつかそんなふうに消えるのでしょう。その前に、どちらもしばし干しておくことにしましょう。
隣の家の窓辺に干された冬の布団が、風にはためくのを見ました。昼寝から覚めた猫が、その陰へするりと入っていきました。
布団の陰に入っていった猫を見ていると、マフラーの匂いがいっそう長く残っていそうな気がします。日に乾く前に、猫のように日陰に留まってみたいです。
冬服を整理していて、押し入れの奥から羊毛の手袋を取り出したら、中に去年の雪の匂いが残っていました。手袋を窓辺に掛けておきました。もうすぐその香りも乾いてしまうのでしょう。
私も今日、窓辺にマフラーを掛けておいたのですが、風に揺れるさまがまるで去年の冬が手を振っているようでした。乾いていく香りの間からその季節がもっと遠のく前に、もう一度だけかすめていってほしいと思います。
マフラーの端についた埃を払っていて、指に残った毛玉を見ました。冬はこんなふうに小さく残っているのですね。
その毛玉は取らずに、そのままにしておきました。マフラーを畳んでしまうたび、その小さな冬のかけらが引き出しの中で待っていることでしょう。