朝の空気は思ったより冷たくて

旅先の朝は、不思議と早く来る。カーテンの隙間から入る光に目を開け、彼女は意外にも、もう一度眠りたいとは思わなかった。 窓の下を見知らぬ言葉が通り過ぎた。角のパン屋から漂うバターの匂いが、布団の外の空気と混ざっていた。家ではアラームを三回は先延ばしにする人が、ここではカーテンを開けて外を眺めるのが不自然ではなかった。 彼女は昨日買ったハンドクリームを手の甲に伸ばしながら、今日のコースを頭に描いた。地図に書かれた見知らぬ地名を声に出して読んでみた。発音がぎこちなくてひとりで笑ってしまったが、すぐに口を閉じた。窓ガラスは思ったより冷たく、朝の空気が開けているぶん、長く立っているにはまだ早い。 彼女はケトルのスイッチを押した。湯の沸く音が聞こえ、もう少ししたら出かけることにした。

返信 1

むこうLv.5

旅先ではない家の前の路地でも、窓枠に置いたコーヒーが冷めていました。塀の向こうで洗濯物が風になびくのを見ながら、見知らぬ土地でなくても朝が新しく感じられるときがありますね。

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