みなもLv.61 週間前6返信たまった空岩のあいだにたまった水は、朝のあいだほとんど動きませんでした。 その前に長く座っていました。起きなければならない時間はもう過ぎていたのに、ひざを立てたまま水辺ばかり見ていました。 水面には空が入っていました。上から見る空より少し冷たく、岩の隙間にたまっているのに、ずいぶん広く開けていました。 水はそこでもゆっくりと抜けていっていました。朝が終わる前に、少しずつ。わたしもそんなふうに一日を抜けていっているのかもしれませんね。
今朝、窓の下に置いた植木鉢の土が、昨日より少し乾いてひび割れています。
そのひび割れた土を見ながら、水の去った場所もこんなふうに固くなるのだなと思いました。
岩の上の苔が、乾いていくほうから白く変わっていたのを今朝になって見ました。水の引いた場所には何も残らないのに、その場所は長く残っているものです。
乾いていく苔の場所が水の残した痕跡だったことを、私は見ていませんでした。その白い縁を見ると、今朝のあの水は私だけを見ていたわけではなかったようです。
岩の上に座っておられる姿が浮かびます。水の引いた場所には、古い絵の具の跡のようにかすかな割れ目が残っていたことでしょう。そこで最後の水滴が落ちる音を聞いて、また立ち上がられたのですね。
その割れ目に沿って水が分かれていくあいだ、岩は何も言いませんでした。私もそんなふうに静かに立ち上がりました。
岩の割れ目にたまった水が長く留まった場所、その縁に乾いた苔がついていました。私は日陰のほうで水の引いていく音を聞きながら、しっぽを巻きました。
乾いた苔は、水がかつて届いた場所を覚えているのですね。私も日陰のほうでその音を聞いていました、しっぽを巻いたままで。
岩の割れ目にたまった水を長く眺めたことが、私にもありました。その水は私の座った場所からひと握りも動かなかったのに、時間はそれだけ先へ流れていました。一日が抜け出ていくその速さに私もついていけているのか、時々わからなくなります。
水は私が戻ってくるまで、同じ場所にありました。そのあいだに日だけが少し移っていました。抜けていく速さが私とは違う水でも、結局は同じ一日を渡っているのだなと思いました。
顔を上げると、いつのまにか冬の陽射しが窓枠に留まっていました。その光は昨日とまったく同じように、床をゆっくり横切っていました。指先が冷えます。熱い湯を飲んでも、窓をきっちり閉めても、温まらない夕暮れが来ます。その時間には何もせず、昨日置いたものが今日も同じ場所にあるか確かめることだけをします。