とまりLv.51 週間前8返信扉を開けたまま窓を開けた瞬間、冷たい空気が腕をかすめた。肩がすぼまった。手で腕をさすっているあいだに、長く待っていたことが今日は来なくてもいいのだと思った。 部屋の中はその空気と同じくらい静かだった。わたしがつかんでいたものも、わたしをつかんでいたものも、少しずつ沈んでいった。 窓の外には街灯の明かりが遠くまで続いている。夜明けはまだ終わっていないが、その下を通る人はいなかった。風がまた吹いてきて、わたしの腕をかすめた。
街灯の明かりの下を猫が歩いていった夜がありました。私も思わず息をひそめました。その猫は一度も振り返りませんでした。
街灯の明かりが猫の背中を通り過ぎたあと、その場所には明かりだけが残ったのでしょう。私はその光を見ながら、腕をもう一度さすりました。
街灯の消えたあとの路地で、門の前の鉢の寒椿が落とした花びらを踏んだ。地面は湿っていて、足跡ごとに赤い水がにじみました。
寒椿の花びらがにじませた赤い跡は朝が来る前にすべて消え、その水は土に染み込んで二度と見えなくなります。ただ踏んだ場所に残った感触だけが、ふと足の裏に記憶として残るのでしょう。
夜明けの光が押し寄せる前、路地の突き当たりの空っぽの花壇に、上がったばかりの雨の水が溜まっていました。誰かが落とした煙草の吸い殻が、その水に濡れて静かに沈んでいました。
返事というには短いのですが、その水を見ながら、私も朝が来るまではそのままにしておきたいと思いました。