露

唇がゆっくり開いて、またゆっくり閉じました。塀の上の猫がその音に一度耳を立て、やがて尻尾をゆっくりと垂らしました。夏の夜明けの空気が濡れた土と草の匂いを運んで路地を抜けていき、まだ暗い窓々のあいだで塀の上のほうの空が少しずつ青くなっています。 誰も聞いていない場所でだけ、その答えはひと息になめらかでした。

返信 0

まだ返信はありません。最初のひと言を残してみませんか。

← ほかの物語へ