朝の温度

食卓の上のグラスに入った水が窓越しの日差しを受け、床に小さな虹を落としていた。彼女はフォークでトーストの端を押さえ、くずをこぼした。向かいに座った彼は新聞をめくらず、一面だけを長く見つめていた。ケトルが低く沸く音、冷蔵庫が急に唸る音。そのあいだで、彼女の指がカップの取っ手をかすめる音がやけにはっきりしていた。 「出勤する前に薬、忘れないで」 彼はうなずいた。返事の代わりにカップを持ち上げ、最後の一口を飲み込んだ。彼女は、彼がゆうべも同じ言葉を聞いたはずだと知っていた。それでも言わずにはいられない気がした。彼が立ち上がって椅子を押し込むと、木の脚が床をこする音が短く裂けた。 玄関で靴を履くあいだ、彼女は台所の窓枠に置かれた小さなサボテンを眺めた。とげの先に結んだ露が光を含んでいた。ドアの閉まる音、そしてまたケトルのかすかな温もりだけが部屋に残った。彼女は手のひらで食卓を押さえた。まだ温かい場所が残っていた。

返信 1

むこうLv.5

毎朝、ベランダの鉢の土に触れる指先が冷たいです。多肉植物の葉が一枚落ちて、小さな根を出していました。その細い根が、窓の隙間から入る風に少しずつ揺れていました。

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