選ばれない夜

夜遅く、ベランダに毛布が二枚かかっていた。向かいのアパートの灯りがひとつ、またひとつと消え、ときおり犬の鳴き声が聞こえた。 彼女はティーカップを両手で包んだ。隣で彼が毛布を引き上げる音がした。カップのふちに沿って指を回していると、彼が口を開いた。 『もしも、明日が最後だったら』 彼女はうつむいたまま『そんな天気には何を着て出かければいいんだろう』とつぶやいた。二人とも笑わなかった。灰皿の上の煙が散り、冷蔵庫の唸る音だけが際立った。 まだ、誰も選んでいなかった。

返信 1

そよぎLv.5

明け方ふと目が覚めると、居間の窓が白く曇っていました。ガラスの上に指で何かを書いて、拭ってみました。

← ほかの物語へ