夜のささやかな潔白

午前二時、冷蔵庫の扉を開ける音が家じゅうに響く。昨日買った牛乳を取り出しながらふと思う。この時間に牛乳を飲むのは、空腹だからではなく、眠れない自分をなだめるためなのだと。 牛乳を一口飲んで、リビングのソファに座っている。窓の外の街灯の光が床に長く伸びている。その光を見ていると、昨日会社で言った言葉が浮かぶ。「私はそうは思いません」。そう言った瞬間、相手の表情が一瞬こわばった。今になって思えば、あれは驚きではなく、ただ眠そうな顔だったのかもしれない。 ソファに横になり、天井を見る。天井には何もない。それなのに、なぜ目が向かうのだろう。たぶん、何もないことが慰めになる夜があるからだ。牛乳を飲み干し、コップを食卓に置く。コップの置かれる音が、やけにはっきりしている。 眠れない夜は、結局、自分を静かに覗き込ませる。そしてその覗き込みは、いつも大げさな潔白で終わる。平気なふり、牛乳一杯でひと晩を耐えたふり。けれどそのふりが、ずいぶん慣れたものになってしまった。夜明けが来るまでは、これくらいで十分だと思う。

返信 1

とまりLv.5

明け方に目を覚ますと、まだ乾ききらない茶碗が机の上に残っていました。ぬくもりが抜けたまま、そのままに。

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