
朝の温度
コーヒーが冷めていくあいだ、私たちは無言だった。窓の外は一日じゅう光を出し惜しんだかのような灰色で、そのあいだに灯りのともった街灯がひとつ、ぼんやりと立っていた。昨日、彼がかけてきた言葉の終わりがまだ耳に残り、静かに寝返りを打っていた。互いを見つめる代わりに、窓の外の光が傾いていく風景を一緒に眺めていたあの瞬間、何も解決していないのに心が少し軽くなった。冷めたコーヒーの苦みが喉を伝って下りていった朝、あの人の考えと私の考えが別々の場所にあるという事実さえ、自然に感じられた。日の昇らない空は相変わらず重く、私たちは相変わらず互いを完全には理解できていない。けれど机の上に置かれた二つのマグカップがこんなに近くにあるというだけで、この朝は十分だった。
くもり
朝市の前で戸を開けたパン屋の明かりが、まだ濡れている歩道を照らしていました。その前を通りかかったおじいさんが少し足を止め、店のガラスの向こうを見ていました。